昨年リリースされたレイのソロ最新作です。
レイによって。。。じゃなくて(笑)、例によって例の如く期待を裏切らない内容です。
自他共に認める“偉大なる中庸”サウンド。
昔、キンクスの日本語訳を簡単に拝めなかった頃に比べて(※昔はコステロなんかも無かったわけですが)、落ち着いて作品の日本語訳も味わえる今の状況はなんて恵まれているんだろう。
優れたコラムを読んでいるかの如く、日常や世の中の出来事に根差した歌詞を作るその熟練の技は相変わらず冴えまくってます。
冒頭1曲目「Vietnam Cowboys」から、日本へのメジャーリーグの進出だとか、SUSHIバーだとか、そんなリアルタイムの“時事的な”歌詞が飛び交います(笑)。
「概念」を語り過ぎないところが、好きですね。
そして、ディランのように難解なメタファーを多用するわけでもないですし。。。やっぱ、ディランは詩人寄りでレイはライター寄りかも。
例えば、「Vietnam Cowboys」なんかの歌詞も、司馬遼太郎がなんかのエッセイ(タイトル失念。。。汗)で書いてましたが、“「文化」はドメスティックだが、「文明」はグローバルだ”っていうことを思い出させますし、その善悪については皮肉っぽく聴き手に示唆を与える感じです。
この曲、サウンド的にもキンクス作品でもお馴染みのバックビートが力強い2ビート派生系がたまりません。
このアルバム、ナッシュヴィル録音なのですが、アコギが隠し味で効いているのも好みです。
私、レイの紡ぎ出すメロディで最も好きなパターンが、『Preservation Act1』の「Sweet Lady Genevieve」なんです。
このアルバムは、その「Sweet Lady Genevieve」っぽさを感じる曲が多くていいですね。大好きなんですよ、あの曲。
『Phobia』の名曲「Still Searchin'」あたりを連想させる「Imaginary Man」なんかも最高です。
勿論、タイトル曲「Working Mans Café」もしみじみとした歌詞と美しいメロディが飛び込んでくる佳曲ですし、とりわけ、5曲目「In A Moment」、6曲目「Peace In Our Time」あたりからの流れは素晴らしく、前述の「Imaginary Man」に至るという。。。「Hymn for a New Age」なんかのエレクトリック・スライドのアレンジもセンスがあって最高ですね。