歌詞とサウンド、そのどちらも最高に素晴らしいザザの傑作。
唯一の真の自由は心の欲求からの自由
唯一の真の幸福は。。。。そうして見出される
(「Love Is Stronger Than Death」)
マット・ジョンソンの声、ギター(リズム主体)があってこそ、ジョニー・マーのプレイも活かされている気がします。
ザザの作品はどれも好きなんですが、その中でもこの『Dusk』はとりわけ大好きで、相当なへヴィローテーションで聴いてました。
この作品は90年代の正真正銘のアーバン・ブルーズだと思ってます。
「Love Is Stronger Than Death」の切ない美しさ、「Dogs Of Lust」のハネたビートに絡むマットとジョニーのツインギター。
このアルバム、ジョニーのハーモニカが素晴らしい味わいをもたらしてます。
D.C.コラードの極上のピアノとペンタングル等でもお馴染みダニー・トンプソン!のアップライトベースにジョニーのエレクトリックギターが被さっていく「This Is The Night」には鳥肌が立ちます。
ジョニーがザザ期からストラト主体のギターサウンド・プロダクションにシフトしていった理由も分かる気がします。
その他も佳曲揃いで、スミスっぽさがちょっぴり嬉しい「Slow Emotion Replay」、ファンキーでジョニーのバリトンギターがめちゃくちゃ効きまくっている「Helpline Operator」、同じくファンキーな名曲「Sodium Light Baby」では、コラードのハモンドにジョニーのワウの素晴らしいフレージングと恐らくマットによるタイトに刻み続けるミュートの効いたリズムカッティングが圧倒的です。
エンディングに向かう2曲「Bluer Than Midnight」、「Lonely Planet」のなんちゅうか。。。その、終末観(感)漂う哀しさが胸に迫ってきます。
僕がいったい何者なのか確かめようと
目をのぞき込まれると泣けてくる
世界を変えられないなら
自分自身を変えるがいい
そして、もし自分自身を変えられないなら・・・
世界を変えるんだ
・・・
・・・
世界は大きすぎる
そして、人生は短すぎる
ひとりで生きるには・・・ひとりで生きるには
(「Lonely Planet」)
マット・ジョンソンの歌詞ってのは、孤独な自分自身を何とか世の中の、他者や社会、宇宙と交信させよう、共鳴させようという意志を感じさせて好きです。
絶望ではなく、甘美な夢に逃避するわけでもなく、希望を感じさせるところが好きなんですよ。
マットってのはつくづく真摯なアーティストなんだなぁ、ってことを今でも感じます。。。
結局、パンクって何だったのか?という問いに対して、「人間は一人一人誰もが全て違うんだ」ってことの再認識とそのことの他者への働きかけなんだろうと思うんです。。。突き詰めると、結局はそこなんじゃないかなぁと思うんですよ。。。
ちなみに、私が知らないだけなのかもしれませんが(汗)。。。
マットの弟アンディが手がけてきたザザの個性的なアルバムアートワーク、その弟の死をきっかけに何らかの理由があって(マットの意向で?!)、現在発売の過去作品のジャケは全て差し替えられてしまってるのでしょうか?